里山隊

里山に佇む庄屋屋敷で一夜を過ごす

2014年2月12日

IMG_3427四国カルストを後にして野村町の山あいにある『惣川(そうがわ)』という昔の宿場町へ。街道から少しだけ登った先に、本日の宿、茅葺き(かやぶき)民家交流館『土居家』が佇んでいました。

こちらは文政10(1827)年築と伝えられている庄屋屋敷であると同時に町の有形文化財でもあり、1998年の大がかりな修復によって新たな息吹を吹き込まれました。
四国に現存する茅葺き民家のなかでは最大級と言われており、間口25メートル、奥行き12メートル、高さ13メートル、建坪約91坪と、普通の茅葺き民家の4倍はあります。それでいて威圧感のあるような建物ではなく、回りの自然に溶け込んでいる様は、やはり「佇む」という言葉が一番しっくりきます。
IMG_3496母屋の一歩踏み入れると五右衛門風呂かと間違えるほどの巨大な釜が! これは元禄時代から造り酒屋を営んでいた名残で、最盛期には1日10俵の酒米を蒸して、いくつもの樽に酒を仕込んでいたそうです。
IMG_3500土居家の象徴ともいえる大黒柱は一辺52センチ、長さ10メートルの松の巨木を使用。向こうに見える大広間は21畳の大きさ。なお、宿泊者でなくとも自由に見学することができます。
IMG_34788畳ほどの本座敷は華美に走ることもなく端正な佇まい。右手のふすま絵もなかなか見応えがあります。
IMG_3484本座敷と表座敷の堺を隔てる『欄間(らんま)』は畳一畳分の一枚板を使用していて、凝った細工を穂と五/事によって施されています。
IMG_3442IMG_3597土居家は『母屋』の他に、明治時代に実在したものを復元した『茶室』、誰でも利用できるお食事処であり地元の人たちの交流の場でもある『蔵』、僕たちが宿泊した『離れ』で構成されています。

IMG_3441IMG_3453離れは明治時代の建物を既存の姿のまま修復。金閣寺を模した茶室風ですが、鴨居が低いので注意が必要です。僕は頭をしこたまぶつけてしまいました…。

IMG_3543食事は母屋でもとることができるのですが、あまりの寒さに耐えかねて隣接する蔵でいただくことに。
僕が用意してもらった『山の幸コース』は地元産の山の幸をふんだんに使用したもので、見た目以上のボリュームがあります。魚は清流にのみ棲息する「あまご」を河辺村の業者から仕入れています。

土居家の管理人であり蔵の料理長でもある大野雅俊さんは惣川出身で、松山市内の洋食店に十数年勤め、「地元で何かできたら」と現在の職に就いたそうです。
「田舎料理を地元のお母さん方に教えてもらって、なるべく地元の味に近づけるように。あと、自分らしさは盛りつけなどで、洋食ぽいアレンジにしています」

IMG_3567オムライス相棒の「のり」は名物の『ふわとろオムライス』をオーダー
大野さんは幅広い世代に受け入れてもらうために洋食でもあっさりめを心がけていて、女子会で訪れるおばあちゃんたちにも大人気だそうです。大野さんは「やさしい味」と言っていましたが、一口食べた僕の第一声もまさにそれでした。
IMG_3571オムライスに付いてきた、単品メニューには存在しない『はったい粉プリン』。ちなみにはったい粉はオオムギを炒って挽いた粉。
IMG_3576夜はライトアップされています。
IMG_3583離れから。渡り廊下にある浴室には数種類の入浴剤が用意されていました。ちょっとしたことですけど、そういう心遣いがうれしいですね。
大野さんが接客するうえで心がけていることも「ある意味自然体。田舎ののんぴりした感じというか、微妙な距離感で」というものでした。

IMG_3638朝は出来たてほやほやの豆腐をいただくことができました。
IMG_3647地元・惣川出身の大野さんは言います。「この建物と惣川地区が合わさって魅力があるんですね。ファンになる人はここがもうひとつの故郷みたいだと言って泊まりに来たり、癒されると言ってぼーっとしにくる人もいます。地区全体がタイムスリップした、非日常的なところ」と。

惣川には信号もなければコンビニもありません。聞こえるのは風の音と動物たちの鳴き声。別世界と言うよりは故郷。庄屋屋敷佇む集落が、旅人たちの郷愁を誘うのです。

投稿 おかべぇ

…………………本日の行程…………………
西予市
17:00 土居家

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土居家