里山隊

お外ごはんとお家ごはん

2014年3月5日

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のどかな田園風景が広がる宇和島市三間町(みまちょうは)は地元商工会のパンフレットによれば、美人の多いとこ。新たな出会いにワクワクしながら商店街を流してると、市で唯一の蔵元であり、知る人ぞ知る『西本酒造』の前に。

道の駅みまで土日のみ販売していた『吟醸バターカステラ虎の尾』(間もなく販売を再開とのこと)はこちらのお酒を使用した、しっとりとした食感と大吟醸のほのかな香りが印象的な大人のスイーツ。僕の大好物でもあります。

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代表の西本勝さんに見学をお願いしたところ、快く蔵のなかを見せてくださいました。ひんやりとした、それでいてフルーティな香りのする蔵では職人さんたちが圧搾(あっさく)、つまり酒をしぼる作業のまっただなかで、かたわらにはしぼった後に残る酒粕が置いてありました。

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西本酒造では清酒『虎の尾』を200年以上も作り続けていて、辛口でずっしり重いと評判の『大吟醸虎の尾』は平成21年度全国清酒鑑評会金賞を受賞してます。

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三間のあちこちで目にする『旧庄屋 毛利家屋敷』の看板に誘われるまま、茅葺き屋根のお屋敷へ。ここは15歳で庄屋になった初代当主の甚蔵が宝暦3年(1753年)から12年の歳月をかけて母屋を建てたのが始まり。母屋は角屋座敷(つのやざしき)、あるいは鍵屋座敷と呼ばれる珍しい作りで、県に2例しかないそうです。見学は自由で、農業関連の展示品の数々が質素な暮らしぶりを今に伝えてくれます

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三間町は藩政時代から米どころとして有名で、地元で収穫した米は『みま米』の名で人気を博しています。灌漑用に作られたため池は、町内に108あると言われています。

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せっかく三間まで来たのだから、みま米を堪能することにします。道の駅みまのバイキングレストランもありますが、今回は人気の体験メニュー『かまどDEみま米』にチャレンジ。内容は3合のみま米、四万十の水、固形燃料。かまど関連、しゃもじ、箸、ちゃわん、お皿も貸してくれるので、あとはおかずを持参するだけ。僕は道の駅でじゃこ天と梅干しを購入。
手順はとても簡単。まずはお米を研ぎ、固形燃料で15分間炊き、あとは10分間蒸らせばアツアツごはんの出来上がり。当日はかなりの強風でしたが、炊いている間の香ばしい匂いが食欲をそそります。

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粘りのあるツヤツヤごはんは文句なしのおいしさで、相棒の「のり」とみるみるうちに3合ぶんを完食。なによりも、おそとで食べるごはんは格別です。

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みま米の生産者として7ヘクタールの水田を管理、キャリア50年以上という渡辺吉男(67歳)さんにもからも話を訊くことができました。米作に必要なのは水持ちのいい粘土質の土壌、豊富な水、天候。渡辺さんとその志に賛同する数人の生産者は、自然の力でお米を作っており、道の駅みまで販売されているお米にも『エコえひめ特別栽培農産物』のシールが貼られています。

自然の力というのは「れんげ」で、根っこに根粒菌(こんりゅうきん)という細菌が住んでいて、空気中の窒素を取り込んで土壌の栄養分になるそうです。いわゆる秋落ちという、夏過ぎから成育が悪くなることもありません。
おのずとおいしい米ができるわけで、その味に惚れ込んだ松山市の自然食スーパーのお弁当にも渡辺さんのお米が使われています。町外れにある渡辺さんの田んぼを訪ねると、何もないお隣と違い、一面のれんげで青々としていました。

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野球場や陸上競技場がある宇和島市の丸山公園を走っていたら、なんと闘牛場が!

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この地では牛と牛を戦わせる『闘牛』が17世紀後半に始まったと言われていて、何度かの中止を経て十数年前には『記録作成等の措置を講ずるべき無形の民俗文化財』に選択され、現在は定期的に年4回開催。
格闘時間は無制限で、全力で戦わせて逃げた方が負けというルール。秒殺されることもあれば最長記録は2時間40分。基本的な技は土俵のなかで力いっぱい押し合う基本手の『押し』をはじめとする10種類。ファイトマネーは勝った方が4割で、負けた方が6割というのは負けた牛主に対する慰めの意味だとか。牛主は飼料にこだわる方が多く、大会直前にはマムシ酒、生卵、焼酎、ビール、特製ジュースなどを与えて興奮をあおることも。

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宇和島市営闘牛場は全国初の全天候型ドームで、メキシコのプロレス場を思わせる場内は今にも牛が飛び出してきそうな雰囲気がします。

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愛媛県内では宇和島市内とその周辺に牛と牛主がおり、現在は約40人が登録されています。そこで津島町の牛主・池田方辰さんが飼育している、中量級チャンピオンの『方因坊』に会うことができました。

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出身は隠岐、年齢は11歳で人間にたとえると40代ぐらいの男盛り。人間に立ち向かったことは3度あり、そのうちの1回は病院送りと、かわいい顔に反してかなりの暴れん坊です。一緒に写真を撮らせてもらったものの、過去のやんちゃぶりを聞かされた後ではなかなか近づけず(苦笑)。
他の牛主同様に池田さんも独自の飼料を本因坊に与えており、4月6日に開催される大会でもディフェンディングチャンピオンならではのアグレッシヴなパフォーマンスを見せてくれることでしょう。

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国道56号を流していると、『おうちごはんあすも』という名のお洒落なカフェを発見。

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なかに入ると米粉パンあれこれ、味噌、トマトソース、いちご大福、ロールなどのオリジナル商品がずらり。お店の前身となる『あぐり工房』は2003年に農家や漁家(ぎょか)の奥様方により設立。やがて宇和島きさいや広場内の『手作りパン工房みなみ』の立ち上げから製造販売までを手がけ、当時は一般的でなかった米粉パンの普及に尽力。2012年の農産加工施設を含む『企業組合津島あぐり工房』を法人化、カフェ部門おうちごはんあすもをオープン。

津島あぐり工房の企業理念を要約すると「故郷を離れても思い出す『家庭の味』、『ふるさとの味』を残さなければならない。その責任が『食』を生み出す『農』に携わる私たちにはあるのです」というもの。冷凍食品は一切使わず、地産・地消にこだわり、材料も自分たちで生産もしくは入手。第6次産業の成功例としても、各方面から注目されており、市内外から視察団が来店。代表の山下由美さんはセミナーやシンポジウムのパネリストとしても引っ張りだこです。

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11時〜15時に提供している『あすものもてなしランチ』は、豆腐ハンバーグ、切り干し大根のサラダ、名産のあおさ入り味噌汁など、地元で穫れた旬の野菜がたっぷり。食べてみての感想はやさしい味で、相棒の「のり」も同意見。それを代表の山下由美さんに告げると「はい! それが売りです」と、明るい声が店内に響き渡りました。ランチのコンセプトは「旬を食べきる。今の時期だと菜の花ばっかりでしょ。そのばっかりをいかに料理して、食べてもらうか」で、ひとつの素材でも煮たり焼いたり蒸したりすることによって、さまざまな味が楽しめます。

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ベテランスタッフと加工施設を備えるあすもではスイーツからおふくろの味まで何でもござれ。大豆といりこの揚げ煮『元気もん』は地元のおかあさんから伝承された、やめられないとまらない一品。ビールにもよく合います。

山下さんに今後の目標を訊ねると「継続することです。企業は簡単ですけど、経営は難しいので」という、地に足の着いた言葉が返ってきました。

投稿 おかべぇ

…………………本日の行程…………………
宇和島市
11:00 西本酒造

11:00 毛利邸

12:00 道の駅みま

13:30  和島市営闘牛場

15:00 おうちごはんあすも

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西本酒造

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毛利邸

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道の駅みまの高松さん米生産者の渡辺さん

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宇和島市営闘牛場

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あすもの山下由美さん