里海隊

石鎚山のふもとの魚屋さん

2014年7月25日

01海のない東温市内に、魚介類を扱う会社がある。そんな情報をキャッチした時、自分の耳を疑いました。どうして、山のふもとに魚屋さんがあるの?本当か、それともウソか。真偽を確かめるべく、海の幸を追いかける、われらが里海隊は干物をつくり続けて40余年のキシモトさんへと向かいました。前方に広がる石鎚山系を眺めながら、山あいを駆け抜けて到着です。
02キシモトさんの駐車場からは愛媛県人の誇りでもある石鎚山が見え、玄関前には、稲が青々と成長する田んぼが広がっています。三内米(みうちまい)で名を知られる場所。う~ん、のどかですねえ。どう見ても山の風景。やっぱり、魚とは結びつきません。頭の中にある疑問符がますます大きくなっていきますが、あれこれ考えてもしかたありません。さっそく、キシモトさんの門をくぐりました。社内に入るとすぐ、加工場が目の前に見え、魚のにおいが漂っていました。いつも、海岸や市場などでかいでいる海のにおいです。

「理由は石鎚山系の水にあるんですよ。ミネラルが豊富だし、干物をつくるには最適の環境にあるんです」。案内をしていただいた同社工場長の八木さんがズバリ、答えを教えてくれました。元々、松山市内に加工場をかまえていましたが、規模拡大を目的に移転先を探すことに。三津など海が見える場所も候補地に入っていましたが、最終的には東温市則之内に決定しました。石槌山山麓からの地下水が干物の仕込み、味付けにとても大切な効果をもたらすことが大きかったそうです。
03a加工場内を見学させていただきました。徹底した衛生管理のもと、国内で獲れたサバやイカ、ホッケなどが次々と処理されていきます。多くの職人が1匹5秒ほどで内臓などをさばいていく姿にはホレボレします。処理した魚は石鎚山麓の地下水を使用した調味液に漬け込みます。「これが味の秘けつなんです」。八木さんの言葉にも納得です。
05工場内をよく見ると、なにやら大きな丸い機械があります。高温高圧釜と言うそう。骨まで丸ごと食べられるというキシモトさんの主力商品「まるとっと」がこの高性能機械でつくられているそうです。聖カタリナ大学の学生が高齢者施設などで、お年寄りの「尾頭付きの魚を食べたい」「でも、骨をのどに詰まらせるのが怖い…」など、お年寄りの声を聞いたことが始まり。愛媛県産業技術研究所から話を聞いたキシモトさんは産官学が連携しての共同研究開発事業として、商品開発を開始。高温高圧釜で処理することで骨まで軟らかくすることに成功し、2011年に販売を開始しました。
09調理は簡単。真空パックされているので、電子レンジ、あるいは湯せんで温めるだけ。骨はもちろん、頭まで食べられます。まさに、まるごと食べられることから、お年寄りも骨を気にすることなく食べることができ、試食会などでも好評を得たそうです。実際に食べてみれば、すぐに分かりました。見た目は一般的なアジの開きですが、骨の部分を箸で触ってみると、とても軟らかい。実際に食べてみても硬さがなく、分かっていても骨だと認識できないほどでした。これなら、魚嫌いの子どもでも食べられそうです。

キシモトさんのホームページのトップページには、屋号として「山のふもとの干物屋さん」とあります。海の近くに加工場をつくれば、獲れたばかりの魚介類をすぐに処理できます。普通に考えれば、山のふもとに加工場をつくることはマイナス材料でしかないと思いますが、キシモトさんは逆手に取り、石鎚の新鮮な水を使った干物をつくることで他にはない商品を次々と開発し、成功を収めています。これまでの固定観念が一気に吹き飛びました。山のふもとでもおいしい魚介類の商品をつくることができるんだなと、目からウロコが落ちた気分でした。

■投稿 横チン

……………………………本日の行程…………………………
11:00 東温市のキシモトで加工場を見学し「まるとっと」をいただく

14:00 松山市のパンケーキ店「けんたカフェ」でシラス入りパンケーキ「スイミー」を堪能

11

キシモトの八木工場長

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スイミー