里海隊

大島の石文化と石工たちのまかない飯

2014年3月5日

日本でトップレベルの石材として知られる大島石は江戸時代から「きれいなうえにとても硬い石」として知られてはいました。しかし、当時は砕石技術が発展しておらず、加工や搬送の問題で、高級墓石としての需要があるにもかかわらず、一部の人々にしか知られていない名石として存在していました。技術が進歩した現在では、その名を世に知らしめ「墓石といえば大島石」と呼ばれるような知名度と支持を得るようになりました。美しく、永く残る堅固な石でご先祖様を弔うなんてすてきですよね。

ここ今治市・大島は、このような背景から、石材の採掘が盛んで石文化のうえに成り立っているといっても過言ではありません。偉大なる石文化を外部にも広めるために、カレイ山展望公園で「NPO法人 能島の里」が開催する採石場の見学&石割り体験のツアーに参加してきました。
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IMG_9731ガイドをお願いした事務局長の村上さんに案内されるがまま、採石場に移動。最初、かなり深く掘り下げているなと驚いたのですが、まだまだ生ぬるかったようです。
「もっとすごい光景のところあるで」

え、何それ。怖い。案内されて、さらなる高みへ行きます。
08aうおおおお…。思わず、悲鳴にもならない声が口を突いて出てきます。どのぐらい深いのか目測ではさっぱり分からない、想像の範ちゅうから外れた採石場。高所恐怖症というわけでもないですが、この高さは文字通り「足がすくむ」というやつです。
09a米国アリゾナ州北部にある世界遺産の峡谷、グランド・キャニオンに似ていることから「しまなみアートキャニオン」と呼ばれています。砕石作業の中で偶然にできたものだそうです。人工美ではありますが、その壮大さに感動してしまいました。

こうして、とてつもない場所から数々の石が採掘されていくんですね。
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壮大な風景を見た後は、採掘された石の加工体験をさせていただきました。まずは、石にクサビを打ち込むために穴を空けます。電動ドリルでの作業です。
IMG_9773ドガガガガガ!うなるごう音!四肢に叩きつけ、体躯に響く振動!巻き上がる粉塵!

どれも、いままで経験したことのない感覚です。握った電動ドリルの勢いが強すぎて、感覚の鈍くなった手から離れて飛んでいってしまいそうになるのをこらえながら、穴を空けます。穴を空け終わったら次へ、終わればまた次へ…。耳に残響が返り、だんだん穴が空いてこもった音に変わっていきます。

次は空いた穴にクサビと杭を打ち込む作業です。この杭を正確に垂直に…。思い切り、上から…。
IMG_9820叩きつけるっ!叩きつけるっ!叩きつけるっ!叩きつけるっ!岩が割れるまで叩くのをやめないっ!叩きつけ始めて10分弱、まんべんなく杭を打つと、少しずつヒビが入ります。
IMG_9831とどめとばかりに力を込めて!おりゃー!!
IMG_9849突然、バコッと割れるので、絶対に周りから離れてください。
IMG_9867こうして割られた石の断面がこんな感じです。
IMG_9873杭の跡までくっきりと分かります。こういう技術があるから、非力な腕でも岩を割ることができるんですねー。
IMG_9760こうして美しい大島石は生まれていくんですね。他の場所ではできない、貴重な体験をさせていただきました。

さて、ここまで動いた後の昼食はまた格別です。職員のみなさんといっしょに、まかない飯をいただきました。この地方の郷土料理である「石花汁(せっかじる)」で昔、この地で働く石材業者たちのまかない料理として出されていたそうです。この日は、にんじん、里芋、しめじ、たまねぎ、ちくわ、こんにゃく、ごぼうなどが具材に入っていました。
IMG_0037もともとはこの地方特産の「瀬戸貝」という、ムール貝を大きくしたような二枚貝を入れて出汁を取っていたそうですが、乱獲により絶対数が減少。いまでは値段が高騰し、一般家庭では食べられなくなったそうです。つくっているおばちゃんたちいわく「具だくさんの味噌汁」だそうで、なぜ「石花汁」なのか聞いてみました。
IMG_0052仕上げに崩して入れる豆腐が鍋の中で広がり、浮き出す泡が、まるで花のようだということで、石花汁と呼ばれ始めたそうです。
IMG_0091出来上がった具だくさんの汁は「汁」というジャンルより「鍋」の方がしっくりくるようなボリュームで、根菜類が豊富に入っており、十分おなかが満たされるような量でした。かつての石工たちは朝早くから仕事をはじめ、熱い汁をすすって体を温め、また働いていたのでしょう。
IMG_0118冷えた体にアツアツの具だくさんの汁、五臓六腑に染み渡るよう、1滴も残さず食べました。

■投稿 いっしー

…………………本日の行程…………………

11:00 今治市大島で「大島石文化体験ツアー」参加

13:00 昼食に石花汁をいただく

15:00 石文化運動公園を散策

16:00 「伯方S・Cパーク マリンオアシスはかた」で伯方の塩ソフトクリームを食す

石文化体験ツアー

大島石文化体験ツアー

石花汁

石花汁

 

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石文化運動公園

塩ソフトクリーム

伯方の塩ソフトクリーム