里海隊

伯方の塩ラーメン「さんわ」 福羅健二さん (今治市)

故郷・伯方島の塩でラーメンづくり
福羅健二さん
福羅健二さん
伯方の塩ラーメン細麺と細切り昆布を一緒にいただくパック詰めした商品も販売伯方の塩ラーメン「さんわ」伯方島本店

携わった里山里海グルメ

伯方の塩ラーメン
塩田の町で生まれたラーメン

アクセスマップ

しまなみ海道開通に合わせ゛伯方の塩ラーメン」を開発

ふるさとへの深い愛情が体全体から伝わってきた。瀬戸内海に浮かぶ伯方島(はかたじま)に、創業40余年の『伯方の塩ラーメン さんわ』がある。店長の福羅健二さんは厨房で汗を流しながら、自身が開発した『伯方の塩ラーメン』をつくっていた。生粋の伯方島生まれ、伯方島育ち。特産の塩を身近に感じながら生きてきた。自分たちの島を全国の人々に知ってもらいたいとの思いは強い。

福羅さんにとって、塩田が広がる浜辺が子ども時代の遊び場だった。父親が塩田で働いていたこともあり、塩には特別な思いがある。しまなみ海道が開通する前年の1998年、今治市商工会議所の青年部長だった福羅さんは伯方島をPRできる商品を仲間とともに考えていた。ある日、イベントで『伯方の塩』のサンプルを配っていた時、1人の観光客が言った。

「伯方って九州でしょ?」。ショックだった。伯方の塩は全国的な知名度はあったものの、今治市の伯方島とは一致せず、福岡市の博多だと思われていた。福羅さんは「伯方の塩イコール伯方島とわかってもらうためには、どうしたらいいか」と悩んだ末、ラーメンで認知度を高めていこうと決めた。そして「塩のまちで生まれ育った人間がつくる塩ラーメンって何だろう?」と考えた。

塩を引き立て役にすることで理想のスープが完成

福羅さんは自分なりにテーマを掲げて新しいスープづくりに取り組んだ。「僕が生まれたころ、昭和30~40年代の塩田がたくさんあった瀬戸内海を、ラーメンを食べることで風景として、絵として感じてもらいたい」。瀬戸内の原風景を頭のなかに思い浮かぶ、どこか懐かしい味が理想。それを実現するために、何度もスープをつくり直した。

ある日、魚の吸い物を作っている時、塩を振って素材の余分な水分を抜くと、魚本来のうま味を引き出すことに気づいた。この手法をスープづくりにも応用。煮干しや昆布など17種類の素材のうま味を『伯方の塩』で引き立たせることに成功した。塩味を効かせるのではなく、主役を目立たせる。つまり、塩が脇役となることで、バランスの取れた塩ラーメンになるのである。

『伯方の塩ラーメン』を食べれば、伯方島を感じることができる。それこそ、福羅さんの追求したことだった。しまなみ海道の広島県側、尾道市出身の映画監督・大林宣彦さんが行列に並んで食べたこともあり「海の味がするね」と感想を話したそうだ。それでも、福羅さんは満足しない。「食べた時に白砂青松(はくさせいしょう)の瀬戸内海を感じてほしい」と、伯方島への愛をこれからもラーメンに注ぎ込んでいく。

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