里海隊

松山マドンナ会 大野覚男さん (松山市)

日本で指折りのアワビを育てる元大工
大野覚男さん
大野覚男さん
ぼっちゃん島あわび波状の板にへばりつくぼっちゃん島あわびきれいな肌色のぼっちゃん島あわび大野さん手づくりのいかだで生産

携わった里山里海グルメ

ぼっちゃん島あわび
天然もの以上の肉厚を誇る高級アワビ

アクセスマップ

生産者仲間の活動を見てアワビ養殖に興味

豪快な笑いが、いかにも海の男らしい。松山市の沖合に浮かぶ忽那(くつな)諸島にある怒和島。『松山マドンナ会』の代表を務める大野覚男さんは日本でも指折りの高級品質と呼ばれる『ぼっちゃん島あわび』を生産している。故郷の海でアワビを育て始めてから20余年。まるで子どものようにアワビを抱えながら「理想通りの立派なアワビになったら、そりゃうれしい」と、また笑った。

大野さんは高校卒業後、松山市や大阪府内での大工の修業を経て、松山市内の建築会社に就職。約3年間勤めた後、故郷の怒和島にUターンした。「でも、海の仕事をするつもりで島に帰ってきたわけではなかった」。実家は漁業と農業をしていたが「家業は継がずに、大工として家を建てていた」という。約20年が過ぎた1991年、アワビとの運命的な出会いを果たす。不安定だった天然漁に代わるものとして、地元の漁師たちがアワビの試験養殖を始めたのだ。

島が多く点在し、潮の流れが速い瀬戸内海は高温にならないため、アワビ養殖に適していた。大野さんは当初、エサとなるワカメを生産して提供していただけだったが、仲間たちが真剣に取り組む光景を見ているうちに興味が膨らみ始め、アワビの生産に直接関わり始めるようになった。

理想のアワビ生産を追求してトップブランドへ

「当時はアワビの養殖技術が確立していなかった。これだ、というものができあがるのに15年はかかった」。どの生産環境がアワビに適しているのかを見つけるため、何度も失敗を重ねた。理想のアワビ生産のために「自分の貯金を全部つぎ込んだ」という。大工の経験を生かし、いかだは自分でつくり、定期的に修繕した。

長い年月の試行錯誤の結果、理想に近いアワビの生産に成功。国産アワビのなかでも最高品質と言われるエゾアワビを稚貝から生産。人工飼料や薬品を使わず、じっくり2、3年かけて育てている。天然もの以上の肉厚を誇り、大きいものであれば200グラムまで成長。10グラム単位で指定されるサイズを出荷している。自信を持って各地に送り出せるようになった2005年、ブランド化を目指して『松山マドンナ会』を発足。全国的に有名な小説の登場人物の名前をつけた『ぼっちゃん島あわび』の商品名で審査に応募し、2年後の2007年に「まつやま農林水産物ブランド」に認定された。

大野さんは「すべて手づくりなのは大変だけどね。自分が納得できないものは出荷できないとお断りしている」と妥協はしない。日本でトップクラスの食材となったいまでも、理想のアワビ生産への追求は終わらない。

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