里海隊

清光堂 ビル・リオングレローさん (今治市)

和の心を持ち合わせたグアム出身の和菓子職人
ビル・リオングレローさん
ビル・リオングレローさん
ひとつひとつ、ていねいに手作業でつくるまるごとみかん大福カステラなどみかんを使った商品の数々清光堂

携わった里山里海グルメ

まるごとみかん大福
みかんを1個まるごと使った和菓子

アクセスマップ

先代の病気を機に店を継ぐことを決心

和の心は日本人以上に持っているかもしれない。今治市の今治街道沿いに、創業60余年の老舗和菓子店『清光堂』がある。2代目工場長のビル・リオングレローさんは手を休めることなく、自らが開発した看板商品のひとつ『まるごとみかん大福』をつくっていた。ひとつひとつが手作り。「お客さんに喜んでもらいたいからね」と、ていねいに細かく仕上げていく。

ビルさん自身、まさか和菓子職人になるとは思ってもいなかっただろう。故郷の米国グアムで救急救命士をしていた。たまたま旅行で訪れていた智恵(としえ)さんと出会い、大恋愛の末に結婚。子どもが生まれ、智恵さん自身も「グアムに永住するつもりだった」そうだが、智恵さんの父で先代の光俊さんが病気で倒れたため、状況は一変した。

当時、高齢で体力的な問題から、光俊さんは長年続けていた店を閉めようと考えていたという。智恵さんから話を伝え聞いたビルさんは「老舗和菓子店をなくすわけにはいかない。僕が店を継ぐ」と決断。10年以上続けていた救命救急士を辞め、2002年に家族全員で今治市に移住した。日本での生活はもちろん、和菓子づくり自体が初めてだったが、先代の味を守り伝えていこうと覚悟を決めた。

「まるごとみかん大福」を開発してヒット商品に

看板商品の『椀舟(わんぶね)もなか』をはじめ、先代と同じ材料や分量、製法なのに、常連のお客さんに「やっぱり先代とはどこか味が違う」と指摘されることもあった。だが、お客さんの意見を取り入れ、色合いやこまやかさといった日本独自の文化を日々勉強し、先代の味に近づこうと努力を重ねた。形が整い、味が安定してきたのは来日3年目ごろだった。

新しい大福づくりが転機となった。商品のバリエーションを増やそうということになり、ビルさんは智恵さんと相談して「愛媛のみかんを使った大福をつくろう」と開発を決めた。発売当初は「イチゴの代わりにみかんを使っているだけでは」との意見もあり、ほとんど売れなかったそうだが、改良を重ねていくことで、徐々に味が認められ、いまでは欠かすことのできない商品となった。

他にも、カステラやどら焼き、バターサンドなど、みかんを使った商品を開発。みかんにとどまらず、メロンやレモン、ブルーベリーなど、愛媛県産のフルーツを使った新商品も次々と生み出した。洋と和の心を持ち合わせたビルさんの新鮮な感覚が、和菓子の世界に新風を吹き込んでいく。

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