里山隊

愛宕柿生産者 玉井行雄さん (西条市)

祖父の時代から受け継がれる愛宕柿を栽培
玉井行雄さん
玉井行雄さん
愛宕柿愛宕柿自らの農園でJAの方と談笑スピードスプレイヤー

携わった里山里海グルメ

あんぽ柿
ねっとり甘い半生ドライフルーツ

アクセスマップ

せん定が得意な柿園のゴッドハンド

西条市は釣り鐘状の形をした渋柿『愛宕柿』の生産量が日本一で、周桑地区とも呼ばれる旧丹原町、旧小松町、旧東予市のなだらかな扇状地のほとんどが柿園である。聖武天皇の神亀年間(724~728年)に京都愛宕から伝来したと言われており、大正元年に玉井行雄さんの祖父が柿の木を植えたのを機に周桑地区で広まった。丹原在住の玉井さんは「愛宕柿があったからこそ生きてこれた。ここらの人はだいたいそうやと思いますよ」と言う。

愛宕柿の食感はパリパリとして、糖度は14~15度の甘すぎないさっぱりとした味。玉井さんによれば、おいしい柿をつくるには「摘蕾・摘果(てきらい・てっか)」という、つぼみと果実の間引きが不可欠という。そうすることで、実のなり具合を表す「表年・裏年」の格差もなくなり、価格が大幅に変動することもない。

間引くためのせん定作業は相当の苦労がともなうが、玉井さんは「僕はせん定が好きなんです」とこともなげ。さらに「下から眺めただけで、どの枝を切ったらええ柿ができるというのがすぐわかる。だから、柿園に上がると、自然に手がいきよるね」。まさに柿園のゴッドハンドである。なにしろ80歳までは玉井さんを隊長とする4〜5人のせん定班を組んで、よその園地を手伝っていたのだから恐れ入る。

高齢化を見据えて最新設備を次々に導入

愛宕柿にかぎらず柿を育てていくうえで大変なのは、年に7~8回は行わなければならない消毒作業。昔は桶とポンプのようなものしかなかったそうだ。玉井さんは長野県のリンゴ園でも使用されている『スピードスプレイヤー』と呼ばれる自走式の薬剤噴霧器を周桑地区で初めて導入して、10アールあたりの作業時間が、わずか10分と大幅に短縮。さらにせん定をする際はエンジン付きの昇降機を用いるなど、高齢化を見据えた機械化・省力化によって柿そのものの収穫量もいちだんと増えた。

愛宕柿は渋柿のため、収穫後は「脱渋(だつじゅう)』と呼ばれる、渋味をなくす作業が必要となる。昔は焼酎やドライアイスを用いたそうだが、柿を空気にさらすと色が黒くなるなどの問題があった。そこで玉井さんらとメーカーが共同開発したポリ袋で密封包装することで渋味を抜くことに成功。空気にふれないので日持ちがよく、市場でのアピール度もますます高まった。

玉井さんは所有する園地210アールのうち、50アールで愛宕柿を生産。「おじいさんが農業に熱心な人で園地をどんどん増やした。僕はそれを守りよるということですね」と言うように、守るための努力を惜しまなかったからこそ、今がある。

関連リンク
関連ファイル