里海隊

かめそば「じゅん」曽根潤さん (松山市)

伝説の「かめ」のそばを復活させた元警察官
曽根潤さん
曽根潤さん
かめそばを調理する曽根さんかめそばちりめんやムロアジの削り節とともに店主の曽根さん

携わった里山里海グルメ

かめそば
不思議な食感を楽しめる幻のそば

アクセスマップ

定年退職後、元店主に教えを請う日々

やさしい笑顔の奥に、自信とプライドが見え隠れする。松山市の飲食店街の一角に、赤いのれんが目印の飲食店がある。『かめそば じゅん』。店主の曽根潤さんは店の奥で看板メニューの『かめそば』を慣れた手つきでつくっていた。ソース焼きそばでもない、中華あんかけそばでもないという不思議な食感のそば。日本じゅう探しても、この店でしか味わえない一品だ。曽根さんの味を求めて訪れるお客さんのために、手を休めることはなかった。

かめそばは昭和の時代、松山市内にあった食堂『かめ』で提供されていたそば。40年以上にわたって愛されてきたが、1992年に閉店した。名残を惜しむファンは数多く、曽根さんもそのひとり。警察官時代から足繁く通っていたので「幻となったかめそばをもう一度食べたい、とみんなで話していたんです」と復活を待ち焦がれていた。幻のまま終わらせたくないという思いが募り、定年退職後に食堂かめの元店主の元を訪れ、教えを請うた。

「かめそば」を名乗れる日本で唯一の料理人

しかし、そばのつくり方は門外不出で、曽根さんも当初は弟子入りも断られた。それでも諦めることなく、試作品をつくっては元店主のとことへ持参し、食べてもらった。「柔らかすぎる!」とか「味付けが濃い!」と言われても、ひたすらつくり続けた。約1年間通い詰め、元店主に「完全に同じものではないが、本物と名乗ってもいいレベル」と認められた。免許皆伝の賞状ももらい、2007年に開店した。

かめそばは商標登録されていることから、本物を食べられるのは『じゅん』のみだ。十数年の眠りから覚めた幻の味。かつての常連客も訪れ、曽根さんは「完ぺきに再現されている、と絶賛してくれる人もいれば、もっと食感がパリパリしていたはず、と言う人もいて、意見はさまざま」と苦笑い。だが、みんなから愛された「かめそば」をおいしそうに食べるお客さんの笑顔を、明日への活力にしている。

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