里海隊
郷土料理

石花汁 (今治市)

採石場で働く男たちの胃袋を満たす料理
石花汁
豆腐や山芋など10種類以上の具材が入る豆腐を入れると泡がブクブクと浮き出す石文化体験ツアーでは採石場を見学できるNPO法人「能島の里」の村上事務局長
石花汁

豆腐やコンニャクなど10種類以上の具材がたっぷり

しまなみ海道に浮かぶ今治市・大島の石文化を伝える郷土料理がある。同島の北部に位置する宮窪地区で採れる『大島石』は建築材や墓石に使われており、日本でも指折りの高級石材として知られている。採石場で働く人々がまかない食として食べていたのが『石花汁(せっかじる)』で、10種類以上の食材が入った郷土料理でもある。『宮窪・石文化体験ツアー』が開催されているカレイ山展望公園を訪れ、石花汁をつくっていただいた。

石文化体験ツアーを開催するNPO法人『能島の里』事務局長の村上さんが「これらだけは絶対に欠かせない」という豆腐や里芋、コンニャク、ゴボウをはじめ、シイタケやちくわ、鶏肉、油揚げなど、たくさんの具材が入っている。いりこや昆布から取った出汁と大島産で甘口の『水軍みそ』で煮込んだ大鍋から届く甘い香りが鼻腔をくすぐる。里芋からも甘味がにじみ出て、磯の香りが口のなかに広がる。温かい汁を飲み干すと、体験ツアーで疲れた体を癒してくれる。

女人禁制の採石場で若い男たちが調理

『石花汁』の名前には、さまざまな由来がある。村上さんは「せっかちな人が多い今治の人が手早くできるということから」と説明。もうひとつは「豆腐を鍋に入れた時、まるで花が開くように広がるから」だそう。実際、豆腐を鍋に入れると、泡がブクブクと浮かんできてきれいだ。

大相撲の世界で、新弟子たちが関取衆のためにちゃんこ料理をつくるように、女人禁制の大島の採石場でも新米の若い男たちがまかない食として石花汁を調理していた。村上さんは「男たちに一生懸命働いてもらうためにつくっていた。当時はごちそうだったし、一般家庭では麦めしだったけど、採石場では白飯を食べていたと」と教えてくれた。栄養のバランスもよく、石文化を支える男たちのパワーの源だったのだ。

イベントで提供した際には、1時間で約130食を完売。『宮窪・石文化体験ツアー』の参加者にも、リクエストがあれば、石花汁を提供している。村上さんは「懐かしい味がするからでしょうね。宮窪の郷土料理を伝えていければ」と話した。汗を流しながら採石する男たちの胃袋を満たした料理を食べて、パワーを注入された気がした。
ここに注目!
「宮窪・石文化体験ツアー」は採石場での作業風景や、採石過程でできて「大島のグランド・キャニオン」とも呼ばれる「しまなみアートキャニオン」を見学。実際にくさびを打って石材を切る体験もできる。
商品データ 豆腐、コンニャク、里芋、ゴボウ、ニンジン、ネギ、シメジ、シイタケ、タマネギ、チクワ、鶏肉、猪肉、油揚げ、味噌他
店舗名 NPO法人「能島の里」
住所 愛媛県今治市宮窪町宮窪4703
営業時間 土日祝日10:00~16:00
定休日 土日祝日以外
TEL 080-2989-5179
FAX なし
URL http://www.noshimanosato.org/
その他 カレイ山展望公園までは、しまなみ海道・大島南ICから車で約20分、駐車場あり

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