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善助餅 (宇和島市)

小説『てんやわんや』のなかから飛び出したお餅
善助餅
善助餅映画「てんやわんや」の一場面獅子文六が泊まっていた大畑旅館3代目の浜田耕治さん
善助餅

作者お墨付きの津島銘菓

小説家・獅子文六(ししぶんろく)は敗戦直後の昭和20年(1945)末から約2年間、食料事情の悪化によって神奈川県から夫人の故郷である現在の宇和島市津島町に疎開していた。この時の実体験をもとに書かれたのが、小説『てんやわんや』だ。

明治23年(1890)創業の『浜田三島堂』は、小説の舞台となった津島町にある老舗菓子舗。「喰ひたる餅の数五十、おまけおさめにもう一つ」という、愛媛県人の記憶をよみがえらせるテレビCMのフレーズでおなじみだ。

小説内で、登場人物の越智善助が31個も食べたとされているのが『善助餅』。浜田三島堂の先代がこの餅を試作した際に、映画撮影のため大畑旅館に逗留中だった獅子文六本人が「善助餅でええがな(いいでしょう)」と名づけ、一筆書いてくれたそうだ。現店主、3代目浜田耕治さんは72歳。当時は子どもあったが、獅子文六本人を見知っていたという。

60余年変わらない味

『善助餅』は、柔らかな求肥(ぎゅうひ)に粒あんをくるんだ餅菓子。素朴でありながら、羽二重餅(はぶたえもち)のようなきめの細かい求肥生地と、あずきのひとつ、ひとつの感触が残るつぶあんが絶妙だ。浜田さんのキャリアは50年。「あんこが一番大事なんよ。豆を炊く時にもこだわらないといかん。炊きすぎてはダメだし、これは長年のカンよな」と教えてくれた。

名付け当時から現在までおよそ60年余り、同じ味とレシピを貫く善助餅。時代を超えて味を維持していくことは難しいそうだ。あずきが「赤いダイヤ」と呼ばれ、値段が高騰した時にも、他の安価な豆に変えず、十勝産の大納言あずきで通したが、浜田さんは「数年間は苦しかった」と当時を振り返る。もちろん、もち米も銘柄、産地を指定。製法はもとより、材料にこだわることも、同じ味を維持していく秘けつなのだろう。

なぜ善助餅はこんなに長く愛されているのか? と尋ねると、浜田さんは笑顔で「それはお客さんが決めること」と語った。自信に裏打ちされた笑顔は善助に負けないくらいまぶしかった。


ここに注目!
小説中では、大食い勝負で越智善助の食べた餅の数は31個。映画化されたときに51個と誇張されたらしい。「とっぽ話(津島町近辺で語られる大ほら話)」の里、津島らしいエピソードだ。
商品データ もち粉、砂糖、大納言、水あめ
店舗名 浜田三島堂
住所 愛媛県宇和島市津島町高田丙10-3
営業時間 7:00~19:00
定休日 無休
TEL 0895-32-2607
FAX 0895-32-2607
URL
その他 津島やすらぎの里から車で7分

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