里海隊
郷土料理

松山鮓 (松山市)

子規や漱石が愛した瀬戸内のちらし寿司
松山鮓
エビやアナゴ、菜の花、錦糸卵などで彩り甘めの酢めしと一緒にいただくカウンターでもゆっくりと食べられる「日本料理すし丸」本店
松山鮓

祝い事や訪問客へのおもてなし料理

松山ゆかりの俳人や作家が愛した寿司だ。路面電車が行き来する大街道商店街入口から徒歩5分、繁華街の一角に『日本料理すし丸』本店がある。瀬戸内の郷土料理を多く提供していることで知られるが、特に目をひいたのが『松山鮓(ずし)』。瀬戸内海で獲れた旬の魚介類や野菜をふんだんに使った、どこか懐かしいイメージがするちらし寿司である。

見た目からして、とても華やかだ。エビやアナゴ、タコ、ホウタレイワシなどの魚介類が下の酢めしを覆い隠すように盛りつけられ、そぼろや菜の花、シイタケ、山椒の新芽、錦糸卵などがよりいっそう彩りを加える。赤や黄、緑、ピンク。食べるのがもったいないくらい。甘めに仕上げられた酢めしはエビやアナゴなどとよく合う。一緒に食べると、甘い香りが口のなかに広がった。

松山市では、昔から祝い事や訪問客をもてなす際、ちらし寿司を出す習わしがある。1892年、学生だった夏目漱石が初めて松山市を訪れ、正岡子規の家に立ち寄った際、子規の母・八重がつくったのが松山鮓。漱石はとても気に入り、一粒残さず平らげたという。松山中学校の教師として再び訪れた際も、真っ先に松山鮓を所望したのは有名な話でもある。

「坊っちゃん」発表100周年を機に復活

歴史ある郷土料理『松山鮓』はどちらかと言えば、家庭料理のひとつ。『日本料理すし丸』では当初『瀬戸のバラ寿司』として提供していたが、現在ではなじみが薄く、あまり注文がなかったという。転機は2006年、松山市水産市場運営協議会が、漱石の小説『坊っちゃん』発表100周年を記念し、市内の料理店に「店それぞれで理想の松山鮓をつくってほしい」と依頼。すし丸でも従業員全員で案を出し合い、伝えられる松山鮓に改良を加え、瀬戸内の食材を生かした理想の商品が完成。懐かしの味を甦らせた。

店主の三好さんは「ほんわか温かいイメージが持てる商品になったと思います」と自信を持って提供している。単品だけでなく、じゃこ天やそうめんなどがついたセットメニューも充実。瀬戸内の味を求めて訪れる観光客からの注文も多く、県外の人の認知度は上がってきている。

子規、漱石が愛した松山鮓。味わうごとに、瀬戸内の味がギュッと詰まっていることを感じられる。
ここに注目!
正岡子規が松山鮓について詠んだ句は多くある。『われ愛す わが豫洲 松山の鮓』は有名。他にも『ふるさとや 親すこやかに 鮓の味』、『われに法あり 君をもてなす もぶり鮓』がある。「もぶる」は混ぜるの意味
商品データ エビ、アナゴ、タコ、ホウタレイワシ、菜の花、錦糸卵、酢めし他
店舗名 日本料理すし丸本店
住所 愛媛県松山市二番町2丁目3-2
営業時間 平日11:00~14:00、16:30~22:30 土日祝11:00~22:30
定休日 無休
TEL 089-941-0447
FAX 089-932-0851
URL http://www.sushimaru.co.jp/index.html
その他 伊予鉄道大街道駅から徒歩5分、座席180席

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