里海隊
郷土料理

ふぐ定食 (伊予市)

ふぐのおいしさとは「筋肉質なうま味」。かむほどに味が出る
ふぐ定食
食感と旨み考慮した薄さフグはどんな料理にも合う座敷からは伊予灘が見える国道378号沿、この看板が目印
ふぐ定食

瀬戸内海の伊予灘は魚の宝庫

瀬戸内海の南西部に位置する伊予灘は魚の宝庫である。鯛、ヒラメ、メバル、サワラ、スズキ、アジ、サバ、キス、タチウオ、タコ、イカ、ウニ…。数え上げればキリがない。伊予灘に面した国道378号『夕やけこやけライン』沿いには、双海町の上灘漁協、下灘漁協、大洲市の長浜町漁協の3つの漁協があり、それぞれに季節の魚を水揚げしている。双海町にある『季節料理魚吉』2代目の魚見卓司さんが教えてくれた。

「組合が違うと、網の種類、漁法が違う。漁法が違えば、揚がる魚の種類も違ってくる。例えば、下灘は鯛やハモ、上灘ならサワラや小魚一般、いりこ、というふうに。うちではその時々使う魚を、それぞれの漁協から仕入れています」

それでは、この店の人気メニュー『フグ』はどこから? 魚見さんは「フグは、長浜」と力強く即答した。

大洲市長浜町のフグ漁は、歴史が古い。南予地方の山の養分が肱川の流れに乗って運ばれ、肱川河口に開けた長浜町の海には、豊富なプランクトンが生息する。これが魚のエサとなり、さまざまな種類の魚を引き寄せてきた。フグも、そのエサにつられてきた一派というわけだ。とくにブランド化されているわけではないが、質の良さは折り紙付きだ。

地元の魚しか使わないこだわりが産む味と苦労

「季節料理 魚吉」の『ふぐ定食』は、トラフグより1回り小さな『ナシフグ』を使っている。小ぶりだがトラフグに負けずとも劣らないうま味を持つ。

「松山あたりだと名古屋フグとか呼ばれてますね。トラフグより安価ですが、食べ比べてどっちがうまいとは言い切れない。こっちが好きだという人もいるし、味の違いがまったく判らないという人もいます」

ふぐのおいしさとは「筋肉質なうま味」だと魚見さんは言う。そして「アミノ酸を多く含んでいて、良質で高タンパク質系の旨みがある。だから刺身、からあげ、煮付け、何の料理にも合うんです。イメージで“フグは味がない”と思っている人もいますが、本当はしっかりとした味がある。かむほど味が出るというか」とも。こだわりはフグ刺しの薄さにも表れる。かむと白身魚の身を押し詰めたような旨みが、じわじわと押し寄せてくる。「フグの身は固くて、この薄さでこの歯ごたえですから。厚くすると食感と旨みのバランスが崩れてしまう」と魚見さん。

地元の魚しか使わないというのが「季節料理 魚吉」開店当初からのコンセプト。当然、仕入れには苦労がつきまとう。フグもしかり。

「年末までは水揚げが少なくて。地元産しか取らないから、ものが揃えられなくてセットでは出せなかったんです」と言うように、実際に『フグ定食』の形で提供を開始したのは、シーズンも佳境を迎えようとしていた今年1月だった。こだわりゆえのジレンマ。それでも魚見さんは「この店を始めたのは私の父親で、漁師だったんです。ここらで獲れる魚のほとんどは大阪や岡山へ出荷される。だから愛媛県内でも意外と知られていないんです」と言う。地元の魚のおいしさを知ってもらいたい。その思いは2代目にもしっかりと受け継がれている。
ここに注目!
「ふぐ定食」は冬季限定。高タンパク低脂肪、栄養価が高いので体にもいい。天然ものでも小さいフグには黒い筋が入ることがあるが、養殖にはない。たたき等コース外の料理も予約があれば対応可能(別料金)。
商品データ ふぐ刺、ふぐの煮付け、茶碗蒸し、ごはん、付きだし、お吸い物、香の物
店舗名 季節料理 魚吉
住所 伊予市双海町大久保1634-3
営業時間 11:00~20:00(ラストオーダー)
定休日 月曜日(祝日営業・翌火曜日休業)
TEL 089-987-0015
FAX 089-987-0665
URL http://ehime-uoyoshi.com/
その他 もう一つの人気メニュー「鯛釜めし」は、県下有数の水揚げを誇る下灘の鯛を使用。強火で炊き上げ、天然鯛のうま味をとじ込めた自慢の逸品。二代目の魚見卓司さんはフェイスブック、ブログでも近況や情報を発信中。「季節料理魚吉」のホームページからリンクで飛ぶことができる

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